兄妹弟

もう少しで6歳になるユーキは最近、大人びたなあ・・・と思わせるような行動をとることがある。
なんだか妙に静かだなあ・・・と思うと、ソファーに寝そべってボーッと天井のあたりを凝視していたり、とか。
「子どもが静かなときは、病気の時だけだ」と、常にウルサイ子どもをたとえて笑ってそう言ったのは確か私の父だったが、なるほど、その通り・・・と今までずっと思っていた。
なのに、こんなふうにぼーっとしているユーキを最近はときどき見かけるようになった。
もしかするとそれは、ユーキが今子どもと大人の子どもの世界を行き来しているサインなのかもしれない、と私は思う。
「7歳までは夢の中」と言った方がいたけれど(松井るり子さん)、ちょうど乳歯が永久歯に生え替わり始めるこの時期、最も子どもらしい、夢の中にいるような世界からユーキも一歩ずつ足を踏み出し、だんだんと現実を認識しはじめるようになったのだろう。
なんだかそんなユーキを見ると、ハハはキューっと胸がしめつけられるようにさびしくなってしまう。
それで、つい「ねえ、ユーキ・・・。」と話しかけて、ママのほうから何かの遊びに誘ってしまったりする。
でも、そんなボーッとする時間も今のユーキには必要だから、そうしているんだろう・・・とも思うので、自分のさびしい気持ちを抑えて話しかけずにいようと思ったりもする。
・・・なんてことを考えていた次の瞬間!、ユーキは矢のように飛び起きて、まったく他愛のないことで妹とキャーキャー騒ぎはじめたりする。
・・・なーんだ、まだまだか。



真ん中のサトカは、なんとも不憫である。
いやその実、全然不憫じゃないのである。
「まんなかの子って、かわいそうでねえ。上の子はなんだかんだいっても目をかけられてるし、いちばん下は小さいからってかわいがられている中で、まんなかっていうのはどうしても放っておかれてねえ。」というのは3人(以上)子どもを持つお母さんなどからよく聞かれる言葉である。
たしかに、その通りだ。
母親の私は、いちばん下にオッパイをやっている。
パパは、「トランプやろう〜」とせがむ兄の相手をさっきからしてやっている。
で、気がついてみるとかわいそうに、だあれもサトカの相手をしてやっていない、のである。
が!、サトカはあんまりそのことを気にしている様子もない。
自分の好きに遊んでいるかと思えば、ときどき兄のトランプのところへ顔を出してのぞいていたり、オッパイをもらっているげんちゃんの頭をなでにきたりする。
おん年2歳にして、なんと言ったらいいのか、とっても人づきあいがうまい、のである。
毎度「サトちゃんとあそんでよおー(泣)」なんてことになると、まったくはあ〜なんて気持ちに親もなってしまうものだが、ほんとに手がかからない、となると逆に気にもとめる気持ちがわいてくる。
かわいそうなような、かわいそうでないような、なんとも不思議な立場にたっている真ん中のサトちゃん。
これは、生まれながらにして持てるあなたの才能、とも言えるかも。
きっと将来も世渡り上手な大人になれることでしょう。



で、最小の弟、ゲンちゃんは今日も安らかに、のんびりと泣いたり笑ったり、人生を楽しそうに過ごしております。