最近、竹内先生のご著書をオトナ借り。
きっかけといえば、
「平清盛」のテーマソング
『梁塵秘抄』の
<遊びをせんとや生まれけん
戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子どもの声聞けば
我が身さえこそ揺るがるれ>。
これを毎週毎週、耳にするから、かもしれません。
私が学生だったころ、
先生は某S大(専修大学)の人文学科の先生でした。
その後「東大」の先生になられたということで、
すごい先生に教わっていたんだなーと思ったものですが、
卒業してからも、先生が担当されていた「NHKラジオ講座 高校倫理」
などを楽しみに聞いていたりして、とても好きな先生でした。
大学1年のとき、私は国文学科でしたが、
先生は一般教養の哲学を担当されていて、
(学生たちは、パンキョーのテツガク、とかと当時は言っていたっけ。)
週に1度ほどの、大教室で聞いた講義でしたが
私はたしかいつも前のほうに座って、(たぶん)まじめに聞いていた生徒でした。
「哲学」といえば、おそらくいろんな方面からアプローチできて、
とても幅の広い学問だと思われますが、
先生の授業は、日本語の言葉を分解して
そこから日本人の考え方を導き出そうとする手法で、
国文学科の学生だった私としては特に興味深いお話でした。
その後の著作のタイトルにも、
そのお考えは見てとれます。
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なかでも、
「自」という漢字が
「みずから」(自分から)
「おのずから」(自然に)
という両方の意味を持つことに着目し、
一見正反対の意味を持つと思われるこのふたつの語が、
実は日本人の中で共存している、ということを
説かれている思想には
私にもとても考えさせられるものがあります。
自分が「自分から」何かをしようとしているとしても、
それは私以外の(以上の)「自然」が、何か背中を押しているような気がする。
あるいは、
「自然に」思わず自分が何かをしようとしたとしても、
そこには「自分」が主体的にそれをしようとしていたかもしれない部分もある。
自分の行動を振り返って、そう思うことがあります。
話は戻りますが、
「遊びをせんとや・・」に関しては
講義の中で
「人は、その瞬間瞬間を精一杯生きるために生まれてきた。
何か目的を定め(例えば受験とか)、
そのために今を犠牲にして、目的のために生きるのではなくして
今を生きることを目的に、生きるべきである」
という文脈の中で引き合いに出されていて、
子どもが遊ぶ時には、決してその先に目的を作って遊んでいるのではない、
遊んでいる、その瞬間瞬間を楽しんで生きているのだ。
<子どもは、遊びをしよう、たわむれをしよう、として生まれてきたのだろうか
そうやって遊んでいる子どもの声を聞くと、大人である私も
かつては子どもであって、そうやって生きていたんだなあと思い出し、
身が震える思いだ、
(今はいろいろなしがらみにしばられて、
瞬間瞬間を楽しんで生きることができなくなっている)>
そんなふうな解釈ができあがり、
そうやって私は理解した、ことを思い出す。
(違っていたらごめんなさい。)
例えば受験を例にして、先生が話されたくだりは
当時私にはとても印象深くて、
「目的のためには今をがまんしなさい」
というようなオトナがまわりに必然的に多かった中、
授業の中で確実的にそう言い放つ先生から、
強い衝撃を受けたことを、今でもよく覚えている。
先生は、戦後すぐ生まれの私の父とあまり変わらない年齢でありながら
当時はとてもお若い先生といった印象で、
何かちょっと上のお兄さん的なイメージがあり、
たしか背も高くすらりとしていて、メガネをかけていて面長でダンディ、
淡々と話されていて
とにかく毎週楽しみな講義のひとつでした。
そして、毎回毎回、講義のあとに
質問をしに行っている決まった女の子がひとり、いたのだったなあ。
私も何か質問をしてみたかったけど、そんな質問も思い浮かばず(笑)
あの子は先生と今日はどんな議論を繰り広げているのだろう、と
講義後には想像したものでした。
・・・なつかしい。
ちょっとしたことでいろいろ思い出す、
今日もまた過去を振り返った一日でした。(笑)