6年の息子が、証明写真を必要とすることになった。
家のデジカメで撮るか、キタムラか、はたまた駅の500円インスタントか・・・なんて考えていたら、
「やはり専門の写真館で」というダイレクトメールが折りよく届いた。
息子が5才のとき、七五三でお願いした写真館からだ。
その後、妹弟がお世話になることはなかったので、おじゃまするのは7年ぶりだった。
羽織はかまを借りて家族写真を撮ってもらい、そのまま神社へでかけ、
和食料理屋も予約して会食して、という一日を過ごしてから、7年。
親からすればあっという間の7年間で、それでもその日のことは少しも忘れずに覚えている。
が、息子に
「ここへ来たことあるの、覚えてる?」
と聞くと
「全然。」
とこともなげに言う。
まったく、ガクッ(涙)という感じである。
撮影が終わって、
写真館のご主人が、
「よく撮れましたよ、はいっ」
と、3枚の証明写真が入った小さな袋を
息子に向けて渡す。
それは、母親である私にではなく、だ。
でも私はつい「折れちゃうから」と息子に私のバッグにそれを入れるように声をかけたのだが
やはりそうするべきじゃなかったな、と後から思った。
ご主人は、息子に対して
きちんと大人として扱ってくれていたのだ、と思う。
自分の写真なのだから、自分で管理しなさい、と。
息子に自分のかばんを持っていかせればよかったな。
もう、息子は5才の頃の息子ではない。
「全然」羽織はかまを着たことを覚えていない、12歳の少年、なんだ。
「ありがとうございました」
と親子でそれぞれ挨拶をして、お店を後にした。
息子は
「なんとなく、思い出してきた」
と言った。
ご主人は、7年前とくらべて
私の記憶もあいまいだけれど、「新進気鋭のカメラマン」から「少しお疲れぎみの」おじさんカメラマンになっていた気がした。
(ご主人ごめんなさい。)
でも、変わらずアーティスティックな素敵なおじさまだったし、
何より息子を一人前に扱ってくれて、ありがとうございました、
と伝えたい。
この7年間、ピアノの上にずっと七五三の家族写真は飾ってあって、色もあせていない。
けれども少しずつ、息子との距離は考えなくちゃならない。
そんなことを考えさせられたとある夕方でした。