【ミシン男子(小1)、雑巾を縫う。】
新学期、雑巾を縫っていたら
中の模様を
「星☆の形にして!」
というので自分でやってみたら?と教えたら
けっこう上手にステッチできました。
ところでこのミシン、
私が19歳のときに購入した23年モノ。
ジャノメの<グラフィカ>という名称で、
当時なんと<20万円>もしました。
出はじめだった<コンピューターミシン>で、内蔵された既成の刺繍だけでなく<自分で描いた絵が刺繍できる>というのに惹かれて
清水の舞台から飛び降りるような気持でアルバイト代をはたいて買ったもの。
学生でひとり暮らしをはじめ、自分のミシンがほしいな、と思ったときに、
実家の昔ながらの<足踏みミシン>を卒業して「ハイテク」なミシンを手に入れたことで、
心身ともに親から自立したような気分になったものでした。
それから20数年。
いつの間にか刺繍機能は壊れ、
電気のスイッチを入れるたびに<stepping motor error>という表示が表れ、
やっとのことで起動するというありさま。
それでもなんとか直線縫いとジグザグ縫いくらいはできる。
そんなミシンだとしても、
当時、今になって我が子が自分のミシンを使うようになるなんて、
少しも想像しなかった。
ミシンを買ったとき、そこのミシン屋のおじさんは
「お姉ちゃん、こんないいミシン、
<一生もの>だよ。」
と確かに言った。
けれど、数年前、
いよいよかと近所で修理を依頼したとき、
「奥さん、これは<寿命>ですよ。」
と言われた。
うっ、私の運命も同じくこれまでか・・・(笑)と思ったが、
瀕死の状態で直線縫いをしているくらいが、
せいぜい私の人生なんだな、と思うべきなのかと考えた(笑)。
ちなみに私の母は足踏みミシンでスーツでもなんでも作ってしまう人だったが、
いまだに同じミシンでいろいろな小物などを作っては
孫に送ってくれたりする。
母も<一生ものですよ>と言われて月給の何倍かする足踏みミシンを買ったのだと聞いたことがあったが、
こちらのほうがよほど「現役」なような気がする。
ときどき雑巾を縫うためだけに使われているようないにしえの「コンピューターミシン」。
あわれなようだけれど、我が家の今日ばかりの<ミシン男子>には
少し救われた気がした。