小3理科で学ぶ
昆虫の幼虫→さなぎ→成虫
の変化について詳しく知りたかったので、ネットで
完全変態」とか「メタモルフォーゼ」とか入力して調べていたら、
これ

メタモルフォシス (新潮文庫)

メタモルフォシス (新潮文庫)

羽田圭介さんの「メタモルフォシス」という本が
ヒットのひとつとして画面にあらわれた。

羽田圭介さんといえば「スクラップアンドビルド」で芥川賞を獲得していて
私も読んでとても面白かったと思っていたので、
あの羽田さんがそんな科学的なお話も書いていたのかと
興味深くクリックしてみると


…どうやら「とんでもない」ストーリーらしい。
いったいどういうことかとさっそく図書館で予約し、
手元に届いたところで読みはじめると、もうおもしろおかしくて
どっぷりはまってしまった。


完全変態」いえば、自分が小学生の時
先生が「完全変態というのはですね・・・」と説明をはじめると、
「キャーエッチー!」
とか言ってちゃかすヤカラが必ずいたもので、私も「ぷっ」と吹いたりなんかした
小学生ではあった。
(ちなみに今の小学生には見ているとそんなコは存在しないように思える。なぜか。)
その「変態」について、じっくりと描きこんでいるというわけなのである。


そして、ただそれだけではない。
まるで本物の昆虫が、細胞のすべてを組み替えて幼虫から成虫に美しく変化するように、
その「変態」たちも自らの内面を180度転換させ、力強く明日に向かって歩き出すといった
涙なくしては読めないストーリー展開となっている。
SとかMとか私にはまったくなじみがないけれども、いったい
この「変態」たちがどのように<変態>していくのかという続きが気になるあまり、
寝食を忘れて一気かせいに読み切ってしまった。
いやーすごい、羽田さん。
ところどころの心情を表す言葉づかいはとても新鮮なのに、深い。
そこに至るには、詳細な取材を重ねたんだろうなあ。

1話目は、死への欲求が抑えられない金融マンの男が、あれやこれやの結果、生への渇望を見出していく。
2話目は、自分の色を出さないのがよいとの評価があったアナウンサーの男が、やっぱりあれやこれやの末に(笑)、自分の顔=自我を押し出していくことに自信を持つようになる。

というところかな。
おもしろかった〜。けど人にすすめるのも気がひける作品ではあるのでこのくらいにしておこう。
にしても、ネットで検索はこういったまったく意外な出会いがあるからおもしろい。
あ、昆虫についての調べものが全然進んでいなかった。(笑)