「ぎらりと光るダイヤのような日」茨木のリ子
1958年、32歳。
よく教科書に載るような、有名な詩だけど
今になって心の中によみがえる。
きらり、じゃなくて「ぎらり」。
きらりなどという軽やかな美しさ、ではない。
目もくらむほどのまぶしさ、なのだ。
死後に刊行された詩集「歳月」では
こういう表現がある。
けれど
歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの
最愛のご主人を1975年に亡くしてから
31年間のあいだに書かれたもので、
44歳から75歳で亡くなるまでの間いつ完成した詩であるかはわからないけれど、
生の一瞬のほとばしりを切り取った鮮やかさは一貫して変わらない。
ちなみにもっとも有名な
「自分の感受性くらい
自分で守れ、
ばかものよ」
は
51歳の時に書かれているが、
ご主人を亡くされた後に書かれたものだった。
「感受性」を読むと、
茨木さんはとても強い人で、
他人に渇を入れて叱咤激励するもので
私も背筋が伸びるような気持ちになる、と思っていたけれど
これはメッセージのある一部分は
ご自身の「弱さ」に向けて自分を鼓舞するための詩だったんじゃないか、と
今は思えてくる。
大切な人なき後の老いをどう受け入れ
折り合おうとするのか、
行きつ戻りつする心の揺れをすくいとった。
大切な人がいる人なら、
誰もが直面する課題。自分が先立たない限り。
それにしても、真っ白な上質紙に
さらさらとした筆運びのいいペンで
心に反映している詩を写していくのは気持ちがいいものだ。
久しくこういう感覚を忘れていた。
となりでげんもぼそぼそ言いながら
何かを紙に書いている。
最中ときどき(しょっちゅう)
げんのちゃちゃが入るけど、
もう、と思いながら軽くいなせるようになったのは
10年の母の貫禄だと自分で思う。(笑)
ごめんね、げんちゃん(笑)
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